カティの道しるべA


赤の部屋には、足跡が残っていました
それ以外には、何の変哲もありません
ここには何もなさそうだと
2人は部屋を出て行きました

青の部屋には、星が瞬いていました
それ以外には、何の変哲もありません
ここには何もなさそうだと
2人は部屋を出て行きました

その他の部屋も見たけれど
なかなか女の子の“本当”は探し出せません
2人はクリアの部屋の前に立ちました
それは、15部屋あるうちの15番目、
つまり最後の部屋でした
カティが先導して入っていきます
女の子は、それについていきます

クリアな部屋には
椅子が1脚置いてありました
椅子の上には
ガラスで出来たオルゴールが乗っていました
それは・・・


あっと女の子が大きな声を出しました
どうしたの?
カティは問いかけます

あのね、これ
お母さんのオルゴールなの
お父さんからプレゼントされた
とってもとっても大切な宝物
なのに私、うっかり壊しちゃって
ちょっと触って
音を聴いてみたかっただけなのに
落っこちて、パリーンって割れちゃった
そしたら・・・

女の子はオルゴールの前で
膝をきゅっと抱えます
どうなったの?
カティは続きを促します

その音が聞こえたみたいで
お母さんが来たの
お母さん、ビックリしてた
怒られるのが怖くて
私、お部屋飛び出しちゃった
走って走って、一生懸命走っていたら



落っこちちゃったんだよね



え?と女の子は言おうとしました
その前に辺り一面真っ暗になってしまったので
女の子は身を縮こまらせました

怖い、怖い、ここはどこ?
ここはね、なぁんにもないところ
君は、お母さんから逃げている内に
迷子になっちゃったんだね

女の子は、カティを探します
何にも見えない中で、カティの目だけが光っていました
その目を見て、女の子は更に怖くなりました

やだやだ、お家に帰りたい
大丈夫、帰れるよ
え?

カティはもう一度言いました
帰れるよ
女の子は目に涙をいっぱい溜めて
きょとんとしています

帰れるの?
うん
だって君は思い出したから
ほら
扉が開いた

カティがそう言うと
真っ暗闇の中に、一筋の光が見えて来ました
それは、どんどん大きくなって
やがて女の子を包み込みました
そして・・・





次に女の子がぱちっと目を覚ました時には
白い天井
白いベッド
花瓶の花
傍には・・・

「お母さん」

そう
女の子は、走って走って
その日は雨が降っていましたので
足を滑らせて
近くにあった川に落ちてしまったのでした

女の子は何とか助け出されましたが
なんと一週間近く目を覚まさなかったようです
そんなに時間が経ってたんだ
と、女の子はビックリしました
あそこには、1時間ぐらいしか居なかった気がするのに
あれ、
あそこって何のことだっけ・・・?
女の子の頭の中には
黒いごきげんな尻尾だけが残りました





やぁ、僕はカティだよ
みんな、覚えてくれたかなぁ?
え、何であの子は僕のこと忘れちゃったのかって?
大丈夫だよ
寧ろ、忘れたほうが良いんだ
何でかって?
だって僕はカティだもの
女の子は、これからどうなるかって?
きっと幸せに暮らすさ
もう、ここには迷わない
何で知ってるかって?
だって僕はカティだもの
遠まわしな言い方しないで教えろって?
知らないほうが良いと思うよ
だって僕は


「  」だもの





<end>

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