切なげに見開かれた瞳と
黒猫しっぽのお話です

カティの道しるべ@


ハーイ、僕カティ
ひょろひょろしっぽの黒猫だよ
ところで君はどうしたの?
何だかとっても悲しそう

聞いてくれるの?黒猫さん
今ね、泣きたいはずなのに
涙がちっとも出てこない
何でかしら、って考えてたの
笑うことは簡単なのに

そう言った女の子は
カティにニコッと笑いかけました
でも、カティには
それが“本当の”笑顔には見えませんでした
そう
女の子は
泣き方も、笑い方も
全然分からなくなっていたのです

じゃあさじゃあさ、
今からね
“本当”を探しに行ってみようよ
僕も一緒に行くからね
だって僕はカティだもの

探してくれるの?ありがとう!!
実はずっと困ってて
どちらに行ったら良いのかも
よく分からなくなってたの

女の子はそう言うと
カティを抱き上げて
どっちに行ったら良い?と聞きました
なので、カティも
こっちだよと
真っ黒な前足で示してやるのでした




女の子は歩きます
背の高い花が咲くでこぼこ道や
虹色の綺麗な魚が泳いでる地下水道
空から飴が降ってくる遊園地
あら、飴じゃなくて雨じゃないか、ですって?
違うんです
本当に飴が降ってくるんですよ

とにかくとにかく
色んな所を隅々まで探したけれど
女の子の“本当”は見つかりません

こんなに探しても見つからない
もう無理なのよ

女の子はそう言うと
ぺたんと地面に座り込んでしまいました
そんな彼女の手の上に
カティは前足をちょこん、と置いて
大丈夫、後はあそこだけだよ
と顔を遠くに向けました
女の子も同じように顔を向けて・・・
とりあえず、
あそこまでは歩いてみよう、と思いました

着いてみると、そこには
赤、ピンク、青、黄色、緑などなど・・・
ただ壁に色が塗ってある簡素な部屋ばかり
数えてみたら、
なんとまぁ15色もあるじゃありませんか

これを全部探すの?
女の子はびっくりして
カティに問いかけました
そうだよ
カティは答えます
全部見てみないと、意味が無いんだ
僕は覗いてみるよ
だって僕はカティだもの

・・・それってどういうこと?
たいしたことじゃないさ
女の子の疑問(さっきからそう思っていたのです)
をするりとかわしながら
カティは赤い部屋に入っていきます
女の子は、慌ててついていきます





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